見せかけだけの石けんと水シャワー
以前、主人と共にイタリアを旅したときの事です。その時は団体で移動するようなパッケージツアーではなく、往復の航空券と主要なポイントのホテルを何泊かチョイスして予約の出来るツアーで行きました。イタリア、ドイツと回る予定で5泊はあらかじめ予約を入れ、その他は行き当たりばったりの旅です。
フィレンツェは安価で、且つ、由緒正しい名前の付くホテルが予約できるようでしたので、日本にいるときに2泊の予約を入れておいたのです。
フィレンツェにはベニスから列車で入り、近郊の街を散策した後に夕方、ホテルに入りました。由緒正しい名前が付くだけあってか、重々しい雰囲気で歴史を感じる作りでした。
ヨーロッパのホテルは、普通のアパートもそうなのですが、シャワーのお湯の出が日本のように一定の温度で一定の量がいつも出る訳ではないのです。どこのホテルに行っても、温泉の出るホテル以外は熱かったり、冷たかったり、思ったようにバスタブにお湯がたまらなかったりの苦労がありましたので、ホテルに到着すると直ぐにシャワーを浴びてしまおうと思っていました。なぜならば他の部屋の人たちが使う時間になると余計にお湯の出が悪くなるからなのです。
主人よりも先に私がシャワーを浴びる事になり、お風呂場に行くと、猫足のバスタブがなんともクラシカルな雰囲気で置かれていました。なんともヨーロッパらしい、由緒正しい名前にぴったりな猫足のバスタブにすっぽりと入ってお湯に浸かれるのだと夢のような気分でシャワーを浴びたのです。
そして、体を洗おうと思って洗面台の石けんの箱を手に取るととても軽くて、箱を開けてみると中には何も入っていなかったのです。空箱が置かれていただけだったのです。私は大きな声で主人に石けんが入っていない事を伝えると、主人はすぐにフロントに電話をして持って来るように話してくれました。しかし、待てど暮らせど石けんは来ません。しびれを切らして、主人はフロントまで空箱を持って走って行ってくれました。しばらくして石けんは私の元に届きましたが、その頃にはお湯だったシャワーも水が出て来るようになっていました。
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